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労働組合とはどういうものか?非正規労働者が加入できる労働組合もある

公開日:2022年2月2日
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企業で働いていても、労働組合の存在を意識することは、普段はあまりないかもしれません。労働組合がどのようなもので、何をしているのか、よくわからないままという人もいるでしょう。

この記事では、労働組合とはどういうものか、パートタイマーやアルバイトなどの非正規労働者であっても加入できるか否かも含めて、解説します。

労働組合とはどういうものか

労働組合には5種類ある

労働組合とは、使用者と対等な労使関係を築くために、労働者が主体となって自主的に結成する団体です。労働条件の維持や改善、経済的地位の向上などを主な目的としています。

現実を見れば、労働者は使用者(企業)よりも圧倒的に立場が弱く、我慢を強いられることも少なからずあるでしょう。労働者1人だけで使用者に交渉を持ちかけるのは、やはり困難だと言わざるを得ません。そんな時、労働者に力を貸してくれるのが労働組合なのです。

労働組合は組織形態に応じて、下記の5種類に分けられます。

  1. ●企業別組合
  2. 職種に関わらず、特定の企業に所属する労働者で組織する労働組合

  3. ●産業別組合
  4. 職種や企業に関わらず、同一の産業に従事する労働者で組織する労働組合

  5. ●一般組合
  6. 職種や企業、産業に関わらず、労働者で組織する労働組合

  7. ●職業別組合
  8. 企業や産業に関わらず、同一の職種・職業に従事する労働者で組織する労働組合

  9. ●合同組合(ユニオン)
  10. 職種や職業、企業、産業に関わらず、特定の地域における労働者で組織する労働組合

労働組合に認められている権利

日本国憲法第28条には、次のように明記されています。
「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する」

この日本国憲法第28条に基づいて、労働組合には「労働三権」と呼ばれる、以下の3つの権利が保障されています。

  1. ●団結権
  2. 労働者が団結して、労働組合を結成する権利

  3. ●団体交渉権
  4. 労働者が使用者と団体交渉をする権利

  5. ●団体行動権(争議権)
  6. 労働者が要求を実現するために、団体行動(労働争議や組合活動)をする権利

労働組合に関しては、さらに「労働組合法」という法律もあります。この労働組合法第7条では、労働組合に加入している労働者(組合員)に対して、使用者が不利益な扱いをすることを「不当労働行為」として禁じています。

不当労働行為には、たとえば以下のようなものがあります。

  1. ●労働者が労働組合に加入したことや、労働組合を結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたことを理由として、解雇などの不利益な取扱いをすること
  2. ●労働者が労働組合に加入しないことや、労働組合から脱退することを雇用の条件とすること
非正規労働者も労働組合の組合員になれるのか
非正規労働者も労働組合に加入できる

非正規労働者であっても、労働者であることに変わりはありません。労働組合法第3条においても、労働者とは「職業の種類を問わず、賃金、給料その他これに準ずる収入によって生活する者」と定義されています。

最初に労働組合には5種類あるとお伝えしましたが、加入条件さえ満たしていれば、どの労働組合にも加入することが可能です。つまり、組合員として団体交渉や団体行動をする権利も、もちろんあるのです。

近ごろでは、「企業別労働組合」においても、正規労働者だけでなく非正規労働者も加入できるように、組合員の範囲を広げたという事例もあります。非正規労働者だからといって、労働組合への加入をあきらめる必要はないことをぜひ覚えておいてください。

労働組合は自由につくることができる

労働者は、「団結権」に基づいて、労働組合を結成することができます。労働者が2人以上いれば、労働組合を自由につくることが可能なのです。使用者に承認を得る必要もありませんし、官公庁への届出も不要です。

労働組合をつくる流れは、おおむね下記のようなものです。

  1. 1.結成準備会
  2. 委員の選任、労働組合規約案の作成など、結成に必要な準備を行う

  3. 2.勉強会
  4. 労働組合の活動方針などに関して、結成に賛同した人たちとの共通理解を深める

  5. 3.結成大会
  6. 労働組合の結成大会をひらき、労働組合規約や活動方針などを決定する

労働組合の結成に関しても、正規労働者に限定されている権利ではありません。ですから、非正規労働者であっても、2人以上集まれば労働組合をつくることができます。

実際に、正規労働者だけを組合員とする労働組合とは別に、非正規労働者だけを組合員とする労働組合を、企業内でつくった事例もあります。

労働組合には何ができるのか
労働組合が労働者のためにできること

労働組合は組合員のために何ができるのか、もう少し具体的に見ていきましょう。言い換えれば、労働者が労働組合に加入して組合員となることに、どんなメリットがあるのかということです。

労働組合には、たとえば以下のようなことができます。

  1. ●賃金や労働時間などについて、使用者との話し合いの場を設けることで、労働条件を改善する
  2. ●組合員の苦情や不満、ハラスメントの訴えなどを使用者に伝えることで、職場環境を改善する
  3. ●人事評価が公正に行われるようにすることで、職場環境を改善する
  4. ●不当解雇や安易なリストラなどを防ぎ、雇用を安定させる
  5. ●経営にまつわる情報を、組合員が入手しやすくする
  6. ●企業の倒産や売却などの際にサポートする

コロナウイルスの影響で、リストラや雇い止めも増えています。非正規労働者は、正規労働者以上に解雇の危機にさらされているかもしれません。非正規労働者にとっても、労働組合は頼れる存在だと言えるでしょう。

労働組合は団体交渉ができる

労働組合は、「団体交渉権」に基づいて、使用者との団体交渉を行うことができます。

労働組合法第6条には、次のとおり明記されています。 「労働組合の代表者又は労働組合の委任を受けた者は、労働組合又は組合員のために使用者又はその団体と労働協約の締結その他の事項に関して交渉する権限を有する」

労働組合は、労働条件の向上や職場環境の改善に関する要求書を使用者に提出して、団体交渉を申し入れます。そして、使用者は正当な理由がないかぎり、労働組合との団体交渉を拒否することはできません。

正当な理由のない団体交渉の拒否は、先に述べた不当労働行為に該当し、労働組合法第7条で禁止されています。

一例として、下記のようなものは正当な理由には該当しません。

  1. ●使用者が忙しくて、時間が取れない
  2. ●その企業の従業員ではない人が、団体交渉の場にいる
  3. ●労働組合の要求の中に、使用者の経営権に属するものがあるる
  4. →経営や人事については使用者の専権事項とされていますが、労働条件に関わるもの(異動やリストラなど)は、交渉事項となりえます。

労働組合は団体交渉ができる

労働組合は、「団体行動権」に基づいて、使用者に対して労働争議を行うことができます。

よく知られている労働争議が、ストライキ(同盟罷業)です。使用者との団体交渉で合意に至らなかった場合、労働組合は要求実現のために、労務の提供を拒否するストライキを行うことがあります。

労働組合の統制下で、民主的かつ適正な手続きを経て行われる労働争議は、労働組合の正当な活動として認められています。そのため、正当な労働争議については、刑法においても民法においても、免責が与えられています。

労働組合法第8条には、下記のとおり明記されています。 「同盟罷業その他の争議行為であつて正当なものによつて損害を受けたことの故をもつて、労働組合又はその組合員に対し賠償を請求することができない」

つまり、正当な労働争議を行ったことで損害が生じても、労働組合が損害賠償請求をされることはありません。とはいえ、これはあくまでも「正当な労働争議」に対しての免責です。労働争議の名のもとに暴行や傷害、脅迫などを行うことは正当であるとは言えません。

まとめ

ここまで解説してきたとおり、労働組合とは、使用者と対等な立場で話合いを行うことが法律で保障されている団体です。

使用者に訴えたいことができてから、労働組合に加入することも可能です。会社に言いたいことがある、でも1人では主張できないという人は、労働組合への加入を検討してみてはいかがでしょう。

サガアサコ
長年のキャリアのなかで、総務・労務関係の実務経験は15年以上に。
社会保険労務士の資格取得済み。現在は、知識と経験を活かして、フリーランスのWebライターとして活動中。
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