税理士が転職する場合、志望動機の整理と面接対策は重要です。税理士として求められる志望動機は何なのか、転職先でどのような仕事をしたいのかという点を明確にする必要があります。また、年齢によって求められる点も抑えておきたいポイントです。本記事では、税理士が就職・転職する際の志望動機の効果的な伝え方と面接対策について解説します。
税理士の転職に求められる志望動機
税理士の転職に求められる志望動機は、最初に自身が転職先で何をしたいかということをしっかりと検討する必要があります。また、「自分がどうしていきたいか」という希望だけはなく、入社した際に転職先で自身の『強み』をどういかせるか、自身を志望動機の中には、転職先が自分を採用することによるメリットもしっかりアピールしておきたいところです。
面接で堂々と応答できるよう志望動機を検討して、採用担当者に響くような説明ができるように準備しましょう。
志望動機を考えるに当たり、最初にやるべきことは、転職先で何がしたいか、あるいはどのように活躍したいかを明確にすることです。そのためには、転職理由も検討し、「現職ではこういうことができなかったから、御社でこういう仕事がしたい」と言えるとさらに良いでしょう。
業績や社風・ビジョンといった転職先の魅力と思える部分についての説明は、もちろん伝えても良いでしょう。ただ、そこに多くの時間を割いて語る必要はありません。自身のエピソードをメインにして、現職で実現できなかった想いを転職先で叶える、というストーリー展開を検討してみてください。
また、自分がどういう仕事をしたいかという希望と、これまで自分が積み重ねてきた業務経験とのギャップを洗い出しておくことも重要です。今までの業務経験を活かして、未経験の分野でもこのように自分の力を活かせる、と説得力のある説明ができるよう、志望動機を考えていきます。
転職する年齢によって、志望動機に求められるポイントは異なってきます。
20代から30代前半までの比較的若い年齢での求人では、業務経験よりも、入社してからの成長性が重視されます。志望動機も、これまでの業務経験より長期的な視野で「このような活躍をしたい」と説明できれば、採用担当者に前向きな印象を持たれやすくなり、採用の可能性が高まります。
30代後半以降の求人になると、即戦力としての活躍が求められます。そのため、これまで得た業務経験を、転職先でどのように活かせるかを採用担当者にアピールすることが重要です。
税理士の転職では、転職先に税理士法人または会計事務所を検討することが多いのではないでしょうか。税理士法人と会計事務所では、中途採用する人物に求める要素が違ってきます。
いくら素晴らしい志望動機を考えても、転職先の求める人物像からずれると、その志望動機は相手に響きません。税理士法人と会計事務所、それぞれのケースで、志望動機をどのように変えていくべきでしょうか。
転職先の事情を考えた志望動機を検討する前に、税理士法人と会計事務所にはどのような特徴があるかを簡単にまとめました。それぞれの特徴を踏まえて、志望動機にどういう視点が必要なのかを解説します。
税理士法人とは、税理士法による特別法人のことで、2名以上の税理士を社員として設立される法人です。税理士法人の社員は、代表取締役と株主を兼任し、個人の税理士事務所に対して比較的大規模な組織となります。
税理士法人は、一般的に会社組織として規模の大きめなところが多く、多くの業務をこなせる点が強みです。2001年に設立が認められた税理士法人は増加し続け、2017年6月には3,561社にまで増えています。
一方新しく税理士試験に合格して資格を取得する人は減少しており、人手不足となる税理士法人もあります。そのため、規模の大きな税理士法人は、比較的良い条件で求人募集をかけることが多い点が特徴です。
一般的に税理士法人や20名以上の規模になる会計事務所は、組織として活動しており、なおかつ人手不足の状況が続いています。そのため、組織の一員として長く活躍してくれそうな人材を求めていると考えてください。
志望動機も、組織の中で、どのような部門で働きたいか、マネージメントにも積極的な内容だと、求める人物像に近くなります。
近い将来に独立を考えている方は、独立開業支援をしてくれる環境が整っている税理士法人・会計事務所を探すことをおすすめします。
会計事務所とは、法人・個人の税務相談や税務申告業務、記帳代行など、税務と会計に関する業務を行う事務所を指します。税理士法人と並列で説明される場合は、比較的小規模の会計事務所が多く、従業員人数も数十人程度までが一般的です。
会計事務所も、人手不足に悩んでいます。さらに、税理士法人や数十名規模以上の組織化された会計事務所のように、専門的な部門に分かれておらず、1人で複数の分野に対応しなければなりません。また、会計事務所によって求められるポジションは様々ですが、早い段階から幅広い業務を経験できたり、大きな責任と裁量を持って案件を任される場合もあります。
個人経営の会計事務所への転職では、多くの業務が経験できる点が大きなメリットです。志望動機では、様々な分野の仕事を経験したい、と説明すると、好意的な印象となる可能性が高くなります。
また、小規模な会計事務所では、所長との距離も近い傾向にあります。そのため、頑張りをしっかり評価されれば、所長が社員の独立を後押しする場合もあります。
このように、転職先に合わせた志望動機が定まってきたら、次に、面接対策を検討します。
税理士の転職における面接では、税理士ならではの対策が必要です。ここでは、特に服装・面接での質疑応答に使える情報・練習について解説します。
税理士は比較的保守的な職業という傾向があります。きっちりとしたイメージを与えることで、顧客の信頼を得る面もあります。そのため、面接時の服装は、派手さを避けて落ち着いた印象を与えるようなコーディネートが重要です。
男性の場合、スーツは無地のブラックや紺のような落ち着いたカラーで整えるようにしましょう。ワイシャツはホワイト一択で、カラーシャツは避けてください。ネクタイも、落ち着いたカラーを選びます。
退職理由や前職での業務経験は、質問されてもすぐに答えられるよう事前にまとめておき、練習にも使います。
退職理由はネガティブにならないように注意してください。現職ではこういう仕事はできなかったので転職しました、というぐらいなら問題はありません。
しかし、会計事務所・税理士法人ともに、退職理由がネガティブな人は転職しても長く続かないのでは、と思われる可能性があります。自分の更なる成長を目指すために退職したという方向で考えておきましょう。
業務経験については、志望動機を考える際に棚卸しをしているはずなので、その内容をまとめておきます。その業務経験から、自分はどのような能力を得て、転職先でどう活かせるかを答えられるようにしてください。
転職エージェントを利用する場合は、担当エージェントとの面談を通して、キャリアの棚卸しについて相談してください。自分では気づかない客観的な視点で、会計業界で求められる能力を見出してもらえるかもしれません。
一般的な面接でよくある質問として、自分の長所・短所について質問される場合があります。もし自分の長所・短所を問われた場合は、それぞれ1つずつに絞って答えるようにしましょう。
選択する長所は、税理士として働く際に活かせそうなものにして、自分をアピールします。短所も、採用担当者を不安にさせるような「時間にルーズ」などではなく、長所を言い換えるようにすることがポイントです。例えば、「計画性がある」が長所なら、短所は「心配性」と言い換えることができます。
長所を伝える場合は、自分の長所を最初に伝え、その長所でどのような成果を上げてきたかを説明しましょう。短所の場合は、自分の短所を最初に伝えた後、どのように向き合ってきたかを説明します。
長所・短所を説明する際は、自分の性格について端的に理解してもらえるよう、手際よく説明することが重要です
税理士としての就職・転職が初めてという場合、志望動機の検討や面接対策がなかなか進まない人もいます。自分一人では、志望動機の前にキャリアの棚卸しが難しい、面接対策がしにくい、といったこともあるでしょう。
転職エージェントは、豊富な求人情報を提供するとともに、志望動機の検討や、面接対策などにも役立ちます。担当コーディネーターとの対話によって、キャリアの棚卸し、志望動機のチェック、面接対策などが可能です。
会計業界に特化した人材サービスを展開する人材スカウトでは、キャリアコーディネーターが税理士の就職・転職をサポート。面接対策や書類作成などの支援は全て無料です。志望動機の検討や面接に自信が持てないという方は、ぜひ人材スカウトへの登録をご検討ください。