税理士や公認会計士として会計業界で転職を考える場合、転職の一般的な流れや最近の求人動向は抑えておきたいものです。本記事では、会計業界で転職を進める場合の一般的な流れや、転職先の特徴を種類別に解説します。キャリアの棚卸しの重要性や、転職エージェントの活用についてもまとめていますのでぜひご一読ください。
会計業界の一般的な転職の流れ
会計業界への転職を検討する場合、転職活動期間がどのくらい必要かという点と、一般的な転職の流れをまず確認しましょう。
一般的に、転職活動を開始してから内定が出るまでの期間は3ヵ月と言われています。ただし、会計業界で税理士や公認会計士が転職を検討する場合、会計業界の性質上、比較的多くの求人情報が出てくる時期があります。この時期を利用することで、転職活動をよりスムーズにできるかもしれません。 職が決まりやすくなります。
会計業界で求人情報が多く出る時期は、税理士法人や会計事務所の場合、税理士試験が終わる8~9月、税理士試験の合格発表が行われる12月。そして確定申告や3月決算法人の申告等の繁忙期が終了した4月~6月以降です。
監査法人の場合は、公認会計士試験の合格発表のある11月、監査業務が比較的少ない時期となる6~11月が転職のタイミングとなります。
これらの時期の少し前から転職活動を開始すると、選択肢が多くなるため転職が決まりやすくなります。
会計業界で転職をする際の一般的な流れは以下の通りです。
- 1.転職理由の整理とキャリアの棚卸
- 2.求人サイトや転職エージェントへの登録
- 3.転職先の選定および応募・面接
- 4.採用決定
- 5.現職場へ退職を報告
転職理由の整理やキャリアの棚卸しを行うことで、自分がどのようなタイプの転職先に向いているかを考えます。
それと同時に求人サイトや転職エージェントへの登録も並行して行いましょう。具体的な求人情報を確認することで、自分がやりたい仕事が見つかる可能性が高くなるためです。自分で転職先に目星がついている場合は、直接応募しても良いでしょう。
転職エージェントとは、キャリアコーディネーターが求人企業と求職者との間に立ち、マッチングして転職をサポートするサービスです。
自分で応募する際や求人サイトからの応募では、自分で転職先とやり取りをして面接の段取りを組みます。転職エージェントの場合は、キャリアコーディネーターと対面や電話での面談をして転職先を決めた後、面接などの段取りもキャリアコーディネーター主導で進みます。
2~3の段階が、先ほど説明した求人情報の多く出回る8~9月、12月などになるようにすることが、会計業界の転職をスムーズにするポイントです。選択肢が多くなり希望に沿う求人情報が見つかりやすくなります。
実際に採用が決定すると、現職で退職の手続きを進めます。内定が出てから入社までには1~2ヵ月かかるため、現職の退職も入社までに間に合うように注意してください。退職について切り出してから2ヵ月後には円満退職できるよう、引き継ぎなどを進めます。
転職エージェントは、実際に利用したことがないと分かりにくいサービスかもしれません。
転職希望者側は転職エージェントに登録して自分の希望やこれまでの職歴に合った企業の紹介を受け、面接を受けるかどうかを決めます。求人企業側は、求める人物像や採用人数を転職エージェント側に提示。合致した人材の紹介を受けて、採用活動を行う、という仕組みです。
転職エージェントでは、転職希望者側は無料でサービスを利用できます。その理由は、求人企業側が、成功報酬型で人材の採用が決まった後に転職エージェントに料金を支払うためです。
転職エージェントには、幅広い業界を扱う総合型と、税理士や公認会計士など会計業界を中心とした業界特化型の2種類があります。会計業界に転職することが決まっている場合は、業界特化型の方が合致した求人情報を得られます。一方、総合型は、数多くの求人情報が得られるという点が特徴です。
会計業界は、業務内容が特殊かつ一般企業とは風土や慣習が異なります。そのため、会計業界への就職・転職を目指すなら、税理士法人・会計事務所業界に特化した専門型エージェントの利用がおすすめです。
転職活動を始める際、転職理由とキャリアの棚卸しを最初に行っておくことが重要です。転職理由を明確にする作業とキャリアの棚卸しをする方法について簡単に紹介します。
転職理由では、自分がこの転職で「何をしたいか」を洗い出すことが重要です。
なぜ、転職しようと考えたのでしょうか。年収を上げたい、ワークライフバランスを見直したい、などの理由もあると思いますが、転職先でどのような仕事をしたいからか、という動機を洗い出しておくことは重要です。
ここで転職理由を明確にすることで、志望動機についても考えを深めることができます。志望動機は、転職先を決めた時に、転職先の特性によって多少変更する可能性もあります。ただ、「何がしたいか」を明確化しておくと、面接時にも自信を持った受け答えが可能です。
転職理由とキャリアの間に大きなギャップがある場合は、どのように説明するかを検討しておかなければなりません。面接では、志望動機の説明や、これまで積み重ねてきたキャリアを転職先でどう生かすかについて、質問をされる可能性が高いためです。
自分一人ではなかなか検討が難しいという場合は、転職エージェントでキャリアコーディネーターに相談するのも良いでしょう。冷静に、客観的な視点で見てくれる第三者との会話により、考えがまとまりやすくなります。
会計業界の転職先は、大きく分けて4パターンあります。
- ・税理士法人や会計事務所
- ・コンサルティングファーム
- ・一般の事業会社
- ・監査法人(公認会計士のみ)
これらの転職パターンについて、その特徴を解説します。
税理士法人や会計事務所は、いずれも税理士が開業している税務・会計業務やコンサルティング業務を行う組織です。
税理士法人は、2人以上の税理士が在籍する「法人」であり、比較的規模が大きく組織化されている傾向があります。
会計事務所は、税理士が「個人事業主」として運営しており、従業員数は数名から数十人まで様々ですが、比較的小さな規模の事務所が多い傾向があります。仕事の内容に基本的な差異はなく、どちらも会計業界としては一般的な転職先です。
組織の中で長く働きたい場合は税理士法人、ある程度の裁量を持って様々な業務に挑戦したいという場合は会計事務所への就職が合っていると言われます。ただ、個々の転職先で事情が変わる場合もあるので、転職先の研究はしっかり行いましょう。
コンサルティングファームは、大手の税理士法人や会計事務所のコンサルティング業務から独立している場合と、大手システム系など、大手企業をクライアントに持つ戦略的コンサルティングファームに大別されます。
会計事務所などから独立したコンサルティングファームの場合は、個人事業主や小規模企業に対するコンサルティングが多く見られます。創業やスタートアップ支援、経営計画策定、借入や資金繰りなど財務に関するコンサルティングなども業務の一種です。
一方、比較的大企業を相手にしたコンサルティング業務は、株式公開、M&A、事業承継などの事業拡大のサポートなどもあります。
コンサルティングファームへ転職する場合は、どのような規模のクライアントに対して、どのようなコンサルティングを行いたいかをしっかりイメージすることが重要です。
税理士が一般企業で活躍できるポジションとしては、経理部門や経営企画室等が挙げられます。具体的な業務は、各種決算業務や有価証券報告書の作成などです。
一部上場企業においては、国際税務や事業再編などの高度な税務業務を行っていて、税理士として入社する場合はそれらを担当することになる場合もあります。一般企業へ就職する魅力は、税務だけでなく幅広い分野のスキルを身に付けられる点です。
監査法人とは、公認会計士が5人以上で創立した会計法人です。公認会計士の場合、ほとんどがまず監査法人に就職します。近年は日本版内部統制報告制度(J-SOX)の導入などで監査法人のニーズが高まりつつある状況です。
Big4とよばれる大手の監査法人は待遇などが非常に良いため、離職率が低い傾向にあります。そのため、Big4では採用も一時期ほどは積極的ではありません。その一方、中堅規模の監査法人は、今も積極的な求人活動を展開しています。
転職エージェントをうまく活用する利用することで、会計業界での転職活動が成功しやすくなります。
転職活動を始めるにあたって自分の転職理由とキャリアの棚卸しをするところから、面接対策に至るまで、様々なサポートはすべて無料。転職自体に慣れていない場合は、特に有効です。
コーディネーターは、求職者のニーズに合った求人情報のピックアップから面接設定まで対応。業界に精通した仕事内容や事務所のカラー等の知見を備えたうえでマッチングしてもらえるため、現在勤務中の忙しい方でも、スムーズに転職活動できます。
さらに、給与や待遇、入社日などの交渉や面接後の辞退の連絡など、こちらからはなかなか言いにくいことも、コーディネーターが間に入って相手側に伝えてもらえます。
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