ベネフィット税理士法人(東京都)
田 崎 裕 史
田崎先生(以下、先生) 大学を卒業して、東証一部上場の食品商社に入ったんですよ。ところが、入社して1年も経たず、会社更生法申請という事態になってしまった。「サラリーマンにも、こんなリスクがあるんだ」というのを、いきなり思い知らされたのです。倒産したわけではないので、その後も働き続けたのですが、自分の頑張りとは関係ない、会社対会社の関係で取引が決まったりする仕事にも、「ちょっと違うな」という感じがして。それで、独立したいという気持ちが芽生えたわけです。
なぜ税理士だったかというと、当時住んでいた会社の独身寮で、簿記試験への挑戦が「流行って」いたんですね。ならば自分もやってみようと思って始めたら、ハマってしまった。自分のしている仕事の売掛、買掛とかの意味が初めてよく分かって、感動的ですらありました。独学で2級の資格を取ったところで、本格的に税理士を目指すことを決め、退社して、いくつかの会計事務所で働いたりしながら勉強しました。資格を取って個人事務所を開いたのは、2007年10月です。
先生 何かの業界に特化したいという考えは、わりと早い時期からありました。理由の1つは、AIの普及などによって、税務の業務自体、だんだんシュリンクしていく可能性が高いこと。今後も中小企業を相手にしていくのならば、税務周りだけではなく、その経営に深く入っていく必要があるのではないか。そのためには、どこかに特化して、我々自身がその業界により詳しくなるのがベストだと考えたのです。
とはいえ、医業とか建設業とかは、すでに専門の事務所が多くあります。後発である自分たちは、「人がやらない」ところに参入するしかありません。「美容業界専門」になったのは、いくつかチャレンジする中で、結果的にそこが最もうまく形になったからなんですよ。現在は、およそ300件のお客さまのうち、初期の頃のクライアントを除く250件が美容室です。
― どんな仕事の仕方をしているのか、教えてください。
先生 事務所の概要からお話しすると、開業したのはさいたま市ですが、16年には東京・池袋にオフィスを新設しました。総勢25名ほどの陣容で、パートさんを含む税務の部署は、今はさいたまに置いています。私が初めて働いた会計事務所は、隣の人間がどんなに忙しそうにしていても、自分の仕事が片付いたら黙って帰るという雰囲気で、大いに違和感を覚えたものです。独立したら真逆でいこうと心に決めて、今はそれをしっかり実践しているんですよ(笑)。
仕事については、ひとことで言えば、美容室の経営者に寄り添い、財務や労務を含めた経営全般をサポートしていくのが、私たちの任務です。美容室には、1店舗からスタートしてやがて店舗展開、個人で始めて法人化、分社化――という成長ステージがあります。当事務所では、開業前からお手伝いするお客さまが多いので、20歳代後半くらいの若い社長と、二人三脚でそのステージを上っていく、というイメージです。
業界を熟知していますから、そうした段階に先回りして対応できるのが、当事務所の強み。的確なアドバイスができるのは、個々の担当者のやりがいにも通じています。
― どんな人材を希望しますか?
先生 今お話ししたような業務内容になりますから、「コンサル的な仕事がしたい」という気持ちを持った人には、ピッタリだと思いますよ。基本的に新卒を中心に採用したいと考えているのですが、お客さまが増え続けている現状もあって、すぐに柱になってくれるような経験者の方がいれば、ぜひ欲しいですね。当社の経営理念に共感でき、自分だけじゃなく、他者のために動ける人が理想です。
個人的には、これからもベンチャー的な経営をしていきたいと思っています。美容業界を深掘りしつつ、将来的に別の分野へ展開する構想もあります。成長途上の事務所で働きたいという意欲を持った方をお待ちします。
田崎裕史(たさき・ひろぶみ)
ベネフィットグループ 代表 税理士
栃木県宇都宮市出身/おとめ座/AB型
趣味/釣り、自転車、トライアスロン
座右の銘:至誠